多重露光の撮り方〜その3「多重露光の出来ないカメラで多重露光を撮る方法」

当ブログで多重露光のコツを二度ほど書きましたが、そもそものやり方を書き忘れていました。
検索で「多重露光の撮り方」がヒットして、訪れる方が多いのでここでしっかりと書いておきます。

多重露光をやってみたいけど、やり方そのものを分からない方はぜひご参考くださいませ。

多重露光を連呼しまくりで、くどくてすいません(また言ってる)。

 

目次

□ そもそも多重露光ってなに?

□ 多重露光が可能なフィルムカメラ?

□ 多重露光機能がないカメラでの撮影方法

□ 自動巻きのフィルムだと出来ないのか?

□ 多重露光のコツ。一枚はシンプルなものを撮ること

 

そもそも多重露光ってなに?

まずは基礎から振り返ります。多重といっても、基本は二重です。二枚の写真を重ね合わせます。
フィルムでは、撮影後にフィルムを巻き送らず、同じ場所に重ねることになりますね。

分かりやすようにデジタルで撮った写真をふまえて説明します。
デジタル一眼の中には多重露光撮影が可能なものもありますね。この撮影は「Nikon D600」ですが、カメラ内の画像編集メニューより「画像合成」を選択肢、撮影した二枚のデータを選んで、重ねる方法になります。
*機種によっては、出来なかったり、違う方法になります。

はい、「通天閣」と「ゲームセンターのマリオ看板」を撮ってみました。なんじゃこれ?な二枚ですね。

そして、上記の二枚を重ねた結果が以下になります。

見事にマリオが通天閣に閉じ込められましたね。

コツとしては以下のリンクで説明した通り。通天閣を暗く撮影しています。シルエットになった部分に強く重なり、空の部分は明るいので白飛びしています。

 

多重露光が可能なフィルムカメラ

一般的なフィルムカメラは「多重(二重)露光機能」がありません。シャッターを切った後は、フィルムを巻き送らないと、次のシャッターが切れません。二重撮影にならないようにロックがかかります。

ですが、それを解除できるフィルムカメラもあります。

代表的なのは「LOMO LC-A+」ですね。撮影後にフィルムを巻き送らずに、底面にあるスイッチをスライドさせると、再度撮影が可能です。

基本的にはその場にあるもの同士を重ねることになります。

他にも多重露光が可能なカメラはあります。1枚目は「LC-A+」ですが、2枚目は「Contax G1」です。これは双子を撮影したのではありません。
1枚目にレンズの右半分を隠して撮影、2枚目は左半分を隠して撮影しています。

幻想的な写真だけではなく、そんな不思議なことも出来ちゃうのが多重露光の魅力でもあります。

 

多重露光機能がないカメラでの撮影方法

さきほども書いたように、多くのフィルムカメラにはシャッターロックがかかります。だから重ねることは出来ません。
そこで、どんなカメラでも可能な撮影方法をご紹介します。

それは36枚撮り切って、巻き戻して、再度撮り重ねていく方法です。

1、まずはフィルムを装填、空シャッターを切って、“フィルム巻き送って止まったところ”に印をつけます。ここがスタート位置となります。印は自分さえ分かれば大丈夫です。

2、普通に36枚撮って、巻き戻します。

3、巻き取る際ですが、可能であればフィルムの先(ベロ)が出た状態がいいですが、フィルムを全て巻き取ってしまった際は、「フィルムピッカー」 で先端を出します。

4、再びフィルムを装填、1でチェックした印に合わせます。この際、1と同様で“フィルム巻き送って止まったところ”と“印”を合わせる必要があります。そこが少し難しいです。

何度かフィルムを装填し直すか、フィルムを巻き戻して無理やり合わせましょう。

フィルムを巻き戻して無理やり合わせる方法ですが、空シャッター何度か切って「印部分」を一旦右側に通り過ぎます。そこから、フィルムを巻き戻す時と同じで、LC-Aだと底面のボタンを押して、巻き戻しクランクを戻して、1と同じ場所までフィルムを戻します。

 

この方法の欠点は、スタート位置を合わせても、完璧に重ねることはやや難しく、上記のように若干のコマズレは出てしまうことです。

コマとコマの間が暗くなるので、少し目立ちますよね。

回数を重ねるほどにそのズレは小さくなりますし、少しくらいのズレならトリミングすれば問題ないですけどね。

 

自動巻きのフィルムだと出来ないのか?

自動巻きのカメラについてですが、普通にセットするとスタート位置同じ場所になる機種もあります。
僕が試して全く同じ位置になったのが、『CONTAX Aria』・『CONTAX T3』・『NATURA CLASSICA』です。

『CONTAX 167MT』・『MINOLTA α-9』はズレました。

ご自身のカメラがどうなのかは、とりあえず一度重ね撮ってみるか、期限切れのフィルムなどで試すかになります。

期限切れフィルムでの試し方
1、フィルムを装填(自動で巻き送る)
2、裏蓋を開けて印をいれる
3、フィルムを巻き取る
4、再度フィルムを装填する
5、蓋を開けて、先ほど付けた位置に印があるか確認する

 

多重露光のコツ。一枚はシンプルなものを撮ること

多重露光って博打要素もあるので、なかなか上手く撮れません。そこで試して頂きたいのは、一枚をシンプルなものにすることです。

今回説明した方法をマスターさせ出来れば、たとえば花だけの写真を36枚撮っておいて、それをまた別の日に使うことが出来ます。
下地がシンプルなので、次に何を撮っても、ごちゃごちゃ過ぎて大失敗ってことは少なくなりますよ。

 

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