今回はちょっと小難しい話になります。
かつてタングステンフィルムというのがありました。
白熱電球下での商品撮影などで、ちゃんとした色再現をする為につくられたもので、野外で使うと上記の写真のように青味が強く出ます。
はい、この説明だとなんだかちょっと難しいですね。
10年以上前。僕が現像所に勤めていた頃。
現像済みのリバーサルフィルムを見て、なぜ青いんだと不思議に思っていました。
調べるとFUJI T-64というフィルム。もっと調べるとタングステンフィルムだと。
「そもそもタングステンってなんや?」と、いろんな方に聞いたのに誰もちゃんと答えてくれませんでした。
現像所なのに写真好きな人がいませんでしたからね。でも、リバーサル現像の部署だったので、それくらい知っていて欲しかったです。
ま、説明されたけどこちらの理解力がなかっただけかもしれないし、僕も勤め始めた頃は写真には興味なかったですが。
デーライトフィルムとタングステンフィルムについて
フィルムにはデーライトタイプとタングステンタイプがあります。
デーライトは晴天の野外で撮影する為のフィルムです。
これを使って室内で撮ると色バランスが崩れて、まともな色で撮影が出来ません。
蛍光灯の下では緑に。電球の下では赤くなります。リバーサルフィルムでは特に顕著にあらわれます。
それを電球下でもちゃんとした色味で撮れるように、赤の感度を抑えて制作されたのがタングステンフィルムです。
これには、写真撮影に大切な『色温度』が関係しています。
晴天の日は5,500K(ケルビン)、ろうそくの火は2,000K(ケルビン)など、人間の目に映る感覚に置き換えて数値化したもの。
デジタルをやっている方なら、色温度を知らなくても『(オート)ホワイトバランス』は知っているかと思います。これは色温度を合わせてくれる機能のことです。
スマホでさえ、ホワイトバランスがオートで撮れます。
ようは「ちゃんとした色で撮りますよー」ってことです。
フィルムにはこれがありませんでした。なので、二種類のフィルムが販売されていました。
ということで、写真撮影は光源に合わせてフィルムを合わせたり、フィルターで補正する必要があります。
でも、逆に野外でタングステンフィルムを使うとブルーに転がり、ゆるい感じに撮れて面白いんですね。
デジタルならホワイトバランスを電球マークに合わせることで、これに近い色味での撮影も可能です。
タングステンフィルムはもう生産終了してしまいましたが、海外から期限切れでしたら手に入れることは可能です。