無料で写真を撮ってくれと頼まれても断る方がいい話

こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。
ここのブログを見てくれている方、偶然見た方は写真をやっている方かと思います。

軽い趣味なのか、がっつりやっているかは分かりませんが、やればやるほどある問題が出来てきます。
別のコラムで書いたことがあるのですが、今回はそんな「写真あるある」について。

 

写真を撮ってと頼まれた時はどうすればいいか?

知人に写真好きとして知られるようになると、「写真を撮って欲しい」と頼まれることがあります。
頼みごとをされて嬉しいですが、気になるのは報酬です。のっけから、がめつい話ですいません。でも大事なこと。

最初から安くても提示してくれたらいいのですが、無料で撮って貰えると思っている方がいます。
なんだったら「撮らしてあげる」、みたいな感じで頼んでくる方もいます(笑)。

これは写真に限らず、絵の世界にもありますよね。「ちょっとイラスト描いてよ」って。
僕はプロとして職業にしているのでそういうことは少ないですが、よく聞く話。それで悩んでいる声も聞きます。

 

経費とプレッシャーがかかります

ただの趣味で、お金の為に撮っているわけではなくても、実際に頼まれて撮るとなると、プレッシャーや経費もかかりますし、準備も必要です。
新たな機材が必要になるかもしれません。交通費もかかります。

フィルムならフィルム代や現像費もかかります。
「適当でいいから」みたいに言われても、適当になんて撮れません。趣味・アマチュアだろうと責任感がありますからね。

 

披露宴は勇気を持って断りましょう

これは双方の為に避けるべきです。何度か撮ったことがある方ならいいのですが、風景写真を趣味で撮っている方には難しいです。
メインのカメラマンがいるのなら、練習も含めて撮るのはいいのですが、「カメラマンはあなただけ」で頼んでくる方もいます。

まさかフィルムカメラだけで撮影する方はいないかと思いますが、これはデジタル時代のプロカメラマンも無理でしょう。
色温度を理解していたとしても難し過ぎます。
フィルムなんて36枚撮ったら交換ですからね。10本持っていっても360枚しか撮れません。

*上記の写真はパノラマのフィルムカメラで撮っていますが、おまけ用で撮影したものです。

たとえフルサイズのデジタル一眼を持っていたとしても、初めてだと焦って失敗する可能性大です。
披露宴は明るさや照明の色も変わりますし、突然逆光になることもあります。新郎新婦は動いているシーンも多いです。ストロボも必須です。
ただ主役の二人を撮るだけでもダメです。親戚やご友人、小物なども撮っておく必要があります。

技術があっても、流れを知らないと名場面を逃してしまいます。

怖いのは、写真を知らない人は『なんでも撮れる』と思ってます。暗い場所で高速に動く人をブレずに撮れる、みたいな感じで。

 

集合写真は難しい

これもフィルムカメラによるおまけ写真で、デジタルでしっかり撮りましたが、集合写真はかなり難しいです。
どこから撮るのかにもよりますが、広角レンズが必要かもしれません。
50mm以下のレンズは必須です。この日は脚立の上から焦点距離30mm前後のレンズで撮りました。全員が入らないよ・・・じゃシャレになりません。

ストロボは基本的には天井にバウンスさせますが、天井が高かったり、上記のようにハリがあったり、上手く光が拡散されないこともあります。
大人数を待たせるわけにはいかないので、整列している少しの時間に、撮りながら設定を調整します。
この場所だと向かって左側は逆光です。露出補正で明るくすると右が暗くなります。絞りを開放にするとボケます。

場所によって撮りにくさがガラッと変わる。これが一番怖いかもしれません。

撮影時間が長いと、デジタルならSDカードの容量やバッテリーも予備が必要。カメラも二台欲しいです。

逆に言うと、頼む方もやっぱりちゃんとプロにお願いするべきです。知人・友人に頼む理由はお金の節約もあると思いますが、「あの子、写真やっているし頼んでみよう」という考えは避けるべきでしょう。

風景や花の写真が上手くても、披露宴はベツモノですから。



 

ピカソの逸話

聞いたことある方も多いかもしれませんが、ピカソがファンの方に絵を描いてと頼まれました。
30秒ほどで描き終えて、手渡す時にピカソは言いました。
『この絵の値段(価値)は100万ドルです』と。
ファンの方は「たった30秒で描いたのに?」と驚きました。
ピカソは笑って答えます、『30年と30秒ですよ』と。

本当に言ったのか分かりませんが、描くのにかかった時間は一瞬だろうとも、これまでに積み上げて来た経験(時間や努力やお金など)があるということですね。
それがあるからこその、30秒です。

スポーツでも同じですよね。短距離の選手なら、ほんの数秒のために膨大な時間、過酷な練習をします。

だから、自分の中で、これまでの経験に価値があるというのなら、無料でやるべきではないと思います。
逆に、それを撮ってあげることで経験になるというのなら、積極的にやるべきです。
箔がつく、とかでもいいですね。

いつもお世話になっている方なら無料でもいいと思います。

 

編集時間は撮影時間よりもかかる

ちょっと話はズレますが、デジタルで撮っても、それで終わりではありません。一時間で撮影したとして、編集時間(RAW現像など)はその倍くらいはかかります。
その場でも見せれるように、JPG撮って出しを目指してはいますが、色温度をあげた方が雰囲気が良くなることもあります(赤や黄味が強くなります)。
黒や白のワンコ、服などはハイライトとシャドウは調整した方がいいでしょう。

料金を設定していると、「一時間でその料金は高くない?」なんて思われがちですが、実際は三時間以上かけています。
そこにさっき書いた『これまでの経験』もあります。

準備、撮影、編集、機材、経験、知識、センス、いろんなものが必要です。趣味とはいえ、お金もたくさん使ってきたと思います。

 

心がモヤモヤしないかどうか

実際、友達から頼まれると、お金の話ってちょっとしにくいです。
でも、はじめからその話をしていないと後から「あの、それで料金なんだけど…」なんて言えなくなります。友人関係にもヒビがはいる可能性もあります。

イラストも絵も写真も技術が必要です。確かに、『技術』は『モノ』ではないので価値をはかるのは難しいです。
でも、無料で頼むということは、大げさに言うと、買い物に行って「これタダでちょうだい」と言っているのと同じようなことです。

それでも、「別に無料でもいいよー」と思っている方なら何の問題もないのですが、心に少しモヤモヤがあるのなら(ここが大事)、勇気を持って断るか、料金を伝えるべきです。

それで「え?お金取るの?」なんて嫌な顔をされるくらいなら、断って問題ないでしょう。
時間は有限です。そんな不安をわざわざ抱えて、我慢するには勿体ないです。

モヤモヤしてると撮れる写真にも影響が出てきます。

あまり深く考えないで頼んでくる方も多いです。ただ断るだけではなくて、その理由もしっかり伝えておくといいですね。
頼まれる側よりも、頼む側に読んで欲しい記事かもしれません。

ということで、披露宴や集合写真の難しさなど、少しネガティブ気味に書いてしまいましたが、撮ると決まった時は注意点として参考にしてみて下さい。

 


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