フィルムで撮ることはとても楽しいです。出来上がりの雰囲気(フィルムらしさ)も好きなのですが、単純にフィルムカメラで撮っている行為が楽しいです。
『フィルムで撮る理由が分からない』とか、
『デジタルで撮ってもフィルムっぽく加工出来るよ』とか言ってくる面倒臭いデジタルユーザーがいたら、「フィルムを詰めて、撮影して、巻き戻す行為そのものが楽しいから」って言えば黙らせることが出来ます(笑)。
僕はフィルムにはまり、撮りまくってきました。フィルム代などに幾ら使ったのか想像すると怖いです。
その中の経験などをいかしてワークショップを開催していますが、本当に伝えたいのは表面的な楽しさだけではなくって、もっと裏側というかマニアックな部分だったりします。
たとえば海で泳いだり、浮き輪でぷかぷか浮かんだりするのは楽しいかもしれないけど、潜れば新しい世界を知ることが出来ますよね。
同じ様なものかもしれません。
足を引っ張って潜らせることは出来ないので、おいでおいでしてます。
今回はそんな、フィルムのお話です。
・・・っていつもフィルムの話ばかりですが。知識や技術ではなく、感情的な部分です。
フィルムにはそれぞれ個性がある
フィルムは今もさまざまなブランドから発売されています。製造方法や過程も違うので、色味や雰囲気は当然違います。僕はそれを大事にしているというか、それこそがフィルムの醍醐味だと思っているので、無補正(調整なし)で仕上げてもらいます。
ネガフィルムを店頭でプリントしてもらう時は「補正」というものがかかります。色や明るさの調整と言えば分かりやすいかもしれませんね。これがお店オリジナルのものがあったり、機械が勝手に調整したりと、いろいろです。
クロスプロセス現像したものも同様です。
でも、お店に寄っては『フィルムなんてどれを使っても同じだから、感度で決めれば良い』という考えもあるようです。
どんなフィルム持って来ても一緒、補正でレトロにしたりパステル調にしまっせと。
もちろんこれはこれでありなのですが、それじゃつまんないなーと。
そんなだからフィルムがどんどん生産終了しちゃうんじゃないのと思っちゃうわけです。
ふんわりが好きなのに、鮮やかなフィルム(FUJI Velvia100など)を使っていると無理も出てきます。
まぁ、単純に使う人が減ったからですが、どれも同じってスタンスは如何なものかなと。
もっとフィルムの個性を見てあげて欲しいなと。
撮影前に、どんな色味と雰囲気で撮ろうかなーとフィルムを選ぶ。そこも含めて撮影ですからね。
現像待ちのドキドキとワクワク。そして至福の時
一応、個人的な意見として書きますが、仕上がりの世界観をイメージして撮るという部分は、デジタルよりも気持ちが強くなります。感情も乗りやすいです。
フィルムは失敗しても消すことが出来ません。必要なくても、この世に存在します。
でも、それを見ることで学べることだってあるはずです。失敗にも味がある、それも愛おしいとさせ思えます。
デジタルでもデータをパソコンに転送して、大きな画面で見るまでのドキドキはあるかもしれません。
でもフィルムを現像に出して待っているドキドキや、それを見る時のワクワクと比べると雲泥の差です。
がっかりすることもありますが(笑)、想像以上の写真があって小躍りすることもあります。
デジタルは撮影してすぐにモニターで確認していますからね。仕事の撮影ならそれを見ながら微調整もします。比べるものではないかもしれませんが。
デジタルは気軽に撮れる部分もあって、僕も一年の撮影枚数はフィルムよりも多いので、決してデジタルを否定しているのではありません。
ただ、フィルムを肯定したいというか、もっと流行らせたいというか、面白さを伝えたいんですよね。
まー、潜らせたい。
フィルムが教えてくれたのは一枚の大切さ
時代はアナログからデジタルに移行していきますが、失った部分(人の手でやらなくなった部分)って、わずらわしいとか面倒臭いからというのもありますが、実はそこが面白い部分でもあるんですよね。ロマンです(笑)。
一枚にかける思い。一枚の大切さはフィルムで撮ることでより知ることが出来ます。それはデジタルにも活かせていけますよね。
フィルムのある時代に写真をはじめることが出来て良かったです。