
こんにちは、雨樹一期です。久しぶりにがっつりしっかりと記事を書かせて頂きます。
とはいっても撮影とは関係なく、その後の話なのでなかなかマニアックになります。
だけど、フィルムカメラ好きの方にとってはステップアップにも繋がると思います。
内容を先にお伝えすると、フィルムのスキャニングになります。
ドイツのLaserSoft Imaging社より「SilverFast 9」を提供頂き、使い方なども含めてレビューをいたします。
優れたゴミの除去もありますが、細やかな色調補正なども可能です。機能一覧はコチラ。
デジタルでも撮影している方なら、RAW現像を行う方が多いとは思いますが、それをネガやリバーサルフィルムからスキャニングする際に行うという感じ。
僕はフィルムの現像〜スキャニングまではトイラボさんにお願いしていて、その出来上がりに大満足はしています。
なので、あえて自分で全データをスキャンして取り直すことはないと思いますが、試しに一枚やってみるとこれはこれで楽しいです。
これだけ精度が高いなら、たとえば写真展などで再スキャンするも「SilverFast 9」でいけそうです。
スキャナーはEPSONのGT-X970を使用しました。純正のEPSONのスキャナーとの比較もご紹介します。
【目次】
◆「SilverFast 9」の使用方法について
①ホルダー設定
②フィルム種類の選択
③ビット数の選択
④フレームの選択
⑤データサイズや形式を選ぶ
⑥ズームインして個別に画像調整をする
◆実際に画像を編集していく
❶「NegaFix」で使用したフィルムのブランドを選ぶ
❷ヒストグラムを調整する
❸USMでアンシャープマスキングを調整する
❹iSRDとSRDxでホコリとゴミを除去する
❺グラデーションで明るさや色味を調整
❻グローバル色補正とセレクティブ色補正で、色味を調整
❼粒子とノイズを除去する
◆「SilverFast 9」と「EPSON」スキャニングソフトの比較
◆「SilverFast 9」でポジ(リバーサルフィルム)をスキャンしてみた
◆「SilverFast 9」でクロスプロセス現像したフィルムをスキャンしてみた
「SilverFast 9」の使用方法について
まずは、スキャナーにフィルムをセッティングします。純正のスキャナーと同様で、付属されているフィルムホルダを利用ください。
スキャナーの原稿マットは取り外しましょう。
僕は35mmのホルダを紛失してしまい、マウントフィルム用のホルダを使用しました。
プラスチックマウントが家にあったので、ネガをハサミでカットしてはめ込みました。
フィルム初心者の方からすると「どーゆうこと?」って思うかもしれませんね。
「マウント」とはリバーサルフィルムの処理方法で、一コマずつプラスティックなどのホルダーに入れられた状態のものです。
プロジェクターなどで鑑賞する用ですね。
今はデータにするので、あまり利用されていません。
僕が35mmのホルダを紛失してしまい、自宅にプラスチックマウントとマウント用のホルダはあったので、代用したってことですね。
ややこしくってすいません。
さて、「SilverFast 9」を立ち上げた時の画面です。一瞬、何も出来なくって「ん?」ってなりますが、
パソコンとスキャナーを接続すればオッケー。

自動でスキャナーの機種名が表示されるので、そのまま「開始」をクリックします。
意外とこの段階でつまずく方もいるかもってことで念のため補足しておきました。

「SilverFast 9」を開くとこんな感じ。スッキリとした今風な感じではありませんが、日本語版もあるのである程度は直感的に操作できそうな感じはあります。
立ち上げる時に自動でプリスキャン(少ない解像度で短時間でスキャン)されるかと思いますが、右側の画面に何も表示されていなければ、そのまま下記①〜の手順で進めば大丈夫です。
「SilverFast」のHPに説明書や動画での丁寧な説明もありますが、正直少し分かりにくいかなと。説明が分かりにくいというより、どこを見ればいいか分からない感じ。
でもよく考えるとPhotoshopやLightroomやIllustratorも説明書なんて読んだことないですよね。
直感的に操作もしつつ、説明書を読みつつ、他の方が書いた記事をググりながらやっていきましょう。
①ホルダー設定

まずはホルダーの設定から。「透過性:ホルダー」を選択します。
②フィルム種類の選択

今回、僕はスキャナーにネガとポジ(リバーサル)どちらもセッティングしましたが、入れたフィルムに合わせて選びましょう。
まずはネガからやってみます。
③ビット数の選択

ビット数は数字が大きいほど色の再現が良く、グラデーションも滑らかになりますが、画像の容量も増えます。
とりあえず48ビットにしました。
④フレームの選択

どの「フィルムホルダ」を使ったのか選択します。
35mmのフィルムをセットしたなら、「フィルム・ホルダー 35mm」。
中判カメラなら、「ミディアムフォーマット」になりますね。
冒頭で説明したように、僕はマウントフィルムをセットしたので、「スライド 35×23mmホルダー」を選んでいます。

「スライド 35×23mmホルダー」を選択すると、フィルムに合わせて自動でフレームが選択されます。
少し見にくいですが、写真に合わせてフレームが作成されます。フィルムの左下に数字が入っているのが分かるかなと。
⑤データサイズや形式を選ぶ

続いて、取り込むデータのサイズやデータの保存場所(パス)などを選びます。
TIFFデータまで選べるのは良いですね。TIFFで作成して、Photoshopでさらに編集することも可能です。
今回はJPEGで保存を選びました。
形式ではA4などのサイズが選べます。サイズは後ほど微調整をするので、カスタムにしておきましょう。
画質は300ppiで良いと思います。
解像度はとりあえず大きめで、6400ppiに設定。
⑥ズームインして個別に画像調整をする

画像をアップして調整します。ズームインボタンをクリックすると、再スキャンされてアップになり、画像がクリアーになります。

手に持ったドリンクの部分の左右で解像度が違うのが分かるかなと。
スキャンされて少しずつクリアーになっていく感じがちょっとドキドキします。
今回はすでにトイラボさんでスキャニングまでしてもらっていて、すでに知っている写真ではあるんですけどね。
20年以上前、現像所に勤めていた時は会社で現像して、自分でスキャニングをしていました。
どんな写真が撮れているか分からない写真のスキャニングはワクワクとドキドキ満載です。
余談ですがロモグラフィーから、暗室不要のフィルム現像タンクが販売されましたね。
これで全て自分でやることができるってことになりますね。

縦写真なので、回転します。
ここから画像の調整に入ります。
赤い枠(フレーム)は写真に合わせて微調整しましょう。
実際に画像を編集していく
❶「NegaFix」で使用したフィルムのブランドを選ぶ

画像調整はどの順番でも大丈夫ですが、ネガのデータをスキャンする際、まずは「NegaFix」から行うのがおすすめ。
選ぶフィルムで色味などがガラッと変わるので。
初期は「Other」になっています。
ベンダーはブランドですね。今回使ったのはコダックのGOLD200だったので、
ベンダーを「Kodak」
タイプを「GOLD」
ISO/ASAを「200」に設定。

二枚を比べると肌の色などが自然になっているのが分かるかと思います。
フィルム種類はアグファやイルフォードなどの海外ブランドだけでなく、富士フィルムも選べます。
ロモグラフィーがないのがちょっと残念。
CCRにチェックを入れると自動で調整してくれます。
チェックなしでもいいと思います。好みに合わせて、露光量や許容誤差を調整します。
❷ヒストグラムを調整する

シャドウやハイライトの微調整が可能です。
いわゆる、黒潰れや白飛びなどの修正ですね。
画像の赤丸の部分をクリックすると、さらに細かい調整が可能となります。
❸USMでアンシャープマスキングを調整する

アンシャープマスキングは画像のシャープさの調整です。プリセットを「カスタム」にして、その下のバーで調整がおすすめ。
バーを左右に調整しながら、調整しましょう。
❹iSRDとSRDxでホコリとゴミを除去する

「iSRD」は赤外線でゴミとホコリ、チリなどを除去します。赤外線対応のスキャナーを使う必要がありますが、結果的にこれがすごい優秀。
フィルムって撮影や現像の際に小さい傷がつくこともあります。フィルムホルダーにセットするときも同様ですね。
どれだけ注意深く扱っても、埃やチリが付いてしまいます。「iSRD」はそれを除去してくれます。
「SRDx」は赤外線ベースでは除去できない、傷や埃を除去してくれます。
「iSRD」と「SRDx」を組み合わせることで、ほぼ完全に、傷・ホコリ・ゴミ・チリ除去してくれます。
❺グラデーションで明るさや色味を調整

Photoshopのトーンカーブと同じですね。
細かく設定されていますが、中間トーンやコントラストの調整だけでも良いかと思います。
グレーの四角を選ぶと全体的に変わります。
赤と緑と青もそれぞれ調整します。
❻グローバル色補正とセレクティブ色補正で、色味を調整

ここは文章で説明するのが難しいので、触ってみて調整してみましょう。
色味がガラッと変わってしまうので、ここはスルーでも良いかもしれません。
❼粒子とノイズを除去する

ここらへんは、それがフィルムの味でもあるので、お好みで。
ツールが表示されていない際は、右上の「GANE」をチェックしてください。

ざっくりとした説明になりましたが、プレビュー画面を見ながら「これでいい」と感じたら、最終スキャンをします。
使いはじめはいろいろと戸惑いましたが、半日触っているとサクサク進めるかと思います。

どうでしょうか?随分良い感じになりましたね。
「SilverFast 9」と「EPSON」スキャニングソフトの比較

「SilverFast 9」でスキャンしたデータがこちらです。めっちゃキレイ!ホコリも傷も全部除去されました。
こちらは「EPSON」の付属されているスキャナーを使用したスキャン画像。「SilverFast 9」と同じく出来る限り調整しました。
ピントもやや甘いし、シャドウとハイライトも、圧倒的に「SilverFast 9」の勝ちですね。
「SilverFast 9」は服の白い部分の白飛びがかなり抑えられています。黒の締りも良いかと。
並べた方が分かりやすいですね。左が「EPSON」で右が「SilverFast 9」です。
「EPSON」は鼻の下や服など、細かいホコリやチリが目立ちますね。iSRDとSRDxの除去能力はかなり精度が高いことが分かります。
もちろん、「EPSON」は付属されている、いわゆる無料のソフトではあるので、精度の違いは仕方ないですが、僕的には「SilverFast 9」のスキャニング精度に大満足でした。

別のネガフィルムもスキャンしてみました。いい感じですね。
続いて、自分なりに調整して遊んでみたバージョンです。

こちら、上の写真はトイラボさんでスキャンしてもらったデータです。ロモグラフィーで販売されている「LomoChrome Color ’92 Sun-kissed 35mm ISO 400」で撮った写真。
この色味はこれはこれで好きなのですが、もうちっと空の青さが出る色味でも良いなーと。
ってことで、「SilverFast 9」で調整してスキャンしたデータが以下のものになります。

うん。こっちも良いな。
さすがにスキャナーの性能の差もあって、トイラボさんのデータはシャープです。でもネットで公開する程度だと遜色ないかもしれませんね。
トイラボさんはフィルムそのままの個性(色味)も出してくれているので、正直なところ自分で全データを「SilverFast 9」でスキャンすることは今はないかな。
でも気に入った写真だけは自分の手でやるのはありですね。手をかけることで、好きにさらに思い入れができそうです。
さて、もう少し続きます。
「SilverFast 9」でポジ(リバーサルフィルム)をスキャンしてみた
これまでの写真は全部ネガフィルムでしたが、リバーサルでも試してみました。
ネガだけでもいいかーと思いつつ、かなりキレイにできたので、載せちゃいます。
どーですかこれ。チリ一つない。とても鮮明な結果となりました。
使用したスキャナーは「EPSON GT-X970」で、10年ほど前に購入したものですが、古さを感じさせないですね。
スキャナーの精度がグッと上がった感じがします。
やり方については、ほぼ同じ。はじめにポジを選択するだけです。
フィルムの種類は選べません。まぁ、ポジフィルムなので見たままの色なので、必要ないかな。
ちなみに撮影に使ったフィルムはコダックのE100VSです。
かなり昔に生産終了されたフィルムです。

セッティングしていた他の写真です。
FUJIのVELVIA100で撮影しています。
彩度、特に赤の発色が強くって、コントラストも強いフィルムですが、イメージ通りにの出来上がりになりました。
で、このポジのスキャンがまーキレイなもんで。
ついおかわり。

子供と観覧車の多重露光写真。口から観覧車ストローが出ているみたいでお気に入りの一枚なんです。
多重露光とは撮影のテクニックの一つで、フィルムの同じ場所に重ね撮りをするもの。
これは娘を撮る時は普通に撮影していますが、観覧車を撮る時はレンズを半分隠して撮っています。
「SilverFast 9」の便利な機能で、画面の右上のアイコンで「自動」を選択すると、自動で色調補正をしてくれます。
以下が出来上がりです。フィルムの表裏を間違えてセッティングしていたので、反転しています。

良き良き。
ちなみに、一枚目にスキャンした娘の幼少期ですね。
「SilverFast 9」でクロスプロセス現像したフィルムをスキャンしてみた
ついでに、さらにおかわり。
クロスプロセス現像とは、ポジフィルムで撮影して、ネガ現像するテクニックです。
いわゆる誤現像になりますが、それによってド派手な色彩になるので一時期はハマってこればっかりやっていました。
コントラストも強くなって、白飛びや黒潰れも味になる写真が出来上がります。
ネガの種類の選択ができないので、色味の調整が少し大変ですが、こちらの結果にも満足しています。
ちなみにこの写真は、多重露光もしています。

「ニュートラルピペット」で色かぶりや白飛びに対応
クロスプロセス現像した写真は白飛びが激しくなりがちです。明るさの調整が難しいのですが、その際は「ニュートラルピペット」という機能で対応も可能です。色被りなども一括で対応してくれるので便利な機能ですね。
ここでは白飛びの調整をしました。
使い方は簡単に言うと、白や黒の基準値を設定してあげます。
この写真は明るいので、「ブラックポイント」でやや明るめな暗い部分をポイントしました。
…やや明るめな暗い部分って「どーゆーこと?」って説明になっていますが、実際に触って頂ければ分かるかなと。

色や明るさの調整が苦手な方にはおすすめの機能ですね。

「GANE」で粒子とノイズを除去していますが、この写真に限ってはもっとザラっとした感じの方が合うのかも。
便利な機能を全て使う訳ではなく、考えながら調整して、理想な一枚に仕上げるのが醍醐味ですね。
「SilverFast 9」のレビュー
◻︎良いところ
・ホコリキズ除去がとても優秀
・鮮明な画像でスキャニング可能
・ネガフィルムの種類を選べる
・TIFFでの出力が可能
・細かい色調整が可能
・シャドウとハイライトの調整が優秀(白飛びや黒潰れが無くなる)
◻︎改善してほしい部分
・慣れるまでは少し使いにくい
・アイコンが少し分かり辛い
・機能が多すぎる
・無料では使えない
総評としては、改善を望む点は使い勝手の部分ですね。アイコンなど、見慣れないだけですが。
しかも、機能が多すぎるとか不満点でもないですよね。
とにかく、スキャニングの制度に関しては大満足です。
「JobManager」という機能を使えば一括でのスキャンも可能です。
その中からお気に入りの写真をじっくり編集するのもいいですね!
そういう部分で考えると、デジタルで撮ってRAW現像する感じと似ていますね。
フィルムを自分でスキャンする方で、付属のソフトを利用している方にはかなりオススメ、というか必須のソフトですね。
僕としても、まだ使っていない機能もあるので、もう少し使いこなしていこうと思います。
ここまで使ってみて、なんだか写真が上手くなった気がしています(笑)。
特典
最後になりましたが、LaserSoft Imaging社様より、「SilverFast 9」の購入に使えるクーポンコードを頂きました。
10%OFFでの購入が可能となります。
オンラインストアより、購入画面に進んで頂き、スキャナーのメーカーなど選択します。
カートの画面にて、クーポンコード「AMK56SF」を入力してください。
2025年の6月22日まで有効となります。

◻︎雨樹一期のフィルムカメラギャラリーはコチラ
◻︎撮影・レッスンなどお仕事のご依頼はコチラ
コメントを残す