デジタルでは実現出来ない世界を体験。超低感度フィルム「KONO Donau ISO6」の崩壊した色彩。

今回は超低感度のネガフィルムをご紹介。日本でも発売されているのを見かけたことはありますが、僕は海外の「ANALOGUE WONDERLAND」から購入しました。

まず、感度が驚きですよね。一般的には低くても100です。そこから、50→25→12→6 と、四段階暗くなります。

僕は晴天の日に感度100のフィルムを使うとき、絞りがF5.6で、シャッタースピードは1/500を目安にしています。ISO6を使うとなると、仮にシャッタースピードを変えるなら、四段階遅くする(明るくする)ので、1/500→1/250→1/125→1/60→1/30 で適正になります。フィルムカメラで1/30は手ブレしますね。

絞りを変えるなら、F5.6→F4→F2.8→F2→F1.4 ということで、晴天の日中でも開放で撮影が出来ます。

ざっくりとした露出ですし、日陰にいくだけでも暗くなるので、開放でも手ブレすることはあります。そんな超低感度フィルム、次は色味を見ていきましょう。

 

カラーバランスが崩壊した退廃的な雰囲気

サンプル写真だと青みが強そうだなと感じたのですが、そういった写真は少なめでした。ただ、カラーバランスはかなり悪いです。崩壊してます(笑)。
だけど、それがいい。他のフィルムにはない面白さです。しかも、個人的にはとても好きな雰囲気。

レトロ・ディープな場所との相性は抜群です。ISO6という低感度のフィルムですが、ザラッとしています。綺麗に撮るフィルムではありませんね。
桜の花が持つ『哀愁』は、より表現してくれます。

青空を背景にすると、水色や緑系へと色が転ぶこともあります。

 

低感度フィルムならでは?の躍動感


関西人には馴染みの「かに道楽」です。足の部分がゆーーっくりと動いているのですが、日中に撮ればブレることはありません。
それをこの低感度で絞りをF8くらいにすれば、シャッタースピードはとても遅くなります。

結果、躍動感のあるカニの看板になっていますね。ちなみに足の上には鳩が止まっています(笑)。写真だけを見ると、振り落とされんばかりの足のスピードですが、鳩も気づかないくらい、のろりとした動きです。

こういう撮影方法はNDフィルターを使えば可能ですけどね。フィルターを取り付けたり外すのもなかなか面倒臭いです。なによりこの色味が面白いです。

ジェットコースターは筋になりました。

 

ISO6の感度設定がないカメラでの撮影方法

上記はLOMO LC-Aで撮影しました。だけど、露出がオートのLC-Aは感度は25以下に設定が出来ません(LC-A+は100)。そんなカメラの撮影方法です。
これはカメラにもよりますが、ISO25くらいなら設定ができるカメラは多いです。とりあえず25に設定して、露出補正+2で無理やり合わせて撮ることが一つの方法。
オリンパスのOM-10は上記の撮影方法が出来ないので、マニュアルアダプターを付けてシャッタースピードを自分で調整します。

LOMO LC-Aなら、露出を計る窓を隠します。現像済みのフィルムの切れ端を一枚重ねると、およそ一段階、二枚重ねると二段階変化します。
かなり無理やりですが、これで撮影出来なくもないですね。

ネガフィルムなので、若干のズレもカバーは出来ます。

感度25のままだとアンダーになっちゃいますね。これはこれで格好いいですが。

LC-Aは絞りの開放がF2.8。少し影になっている場所ではやっぱり手ブレします。
出来れば三脚があった方がいいですね。

 

自動巻きのカメラでは使えないことも

このフィルムはかなり薄くって、ペラペラ。光にかざすと向こう側が透けてみえます。この薄さがとても微妙。

フィルムを入れると自動で1枚目まで巻いてくれるカメラだと、上手く巻き送ってくれないこともあります。僕が持っているCONTAX 167MTで何度か試しましたがダメでした。失敗して中で折れてしまいます。

ですので、自分でフィルムを装填できる、手巻きのカメラでの撮影がオススメです。

実はもっと低いISO 1.6のフィルムを使ったことが何度もあって、このISO 6は中途半端な感度だと(笑)、敬遠していましたが、自分で使ってみてハマりました。
なかなか使いどころを選ぶ、使いにくさはありますが、個人的には大好きなフィルムです。

 

オススメ度 ★★★★☆
ふんわり ☆☆☆☆ ☆
鮮やか ★☆☆☆☆
ノスタルジー ★★★★☆
ドリーミー ★☆☆☆☆
キレイ ★★☆☆☆
面白さ ★★★★★
価格 ★★★★☆