名前は違うのに中身は同じ?2026年のフィルム市場がカオスすぎた

こんにちは、フィルムカメラをこよなく愛する猫写真家の雨樹一期(あまきいちご)です。

最近のフィルム市場を見ていると、ちょっと不思議なことが起きています。

「FUJIFILM 200」の中身は「Kodak GOLD 200」なんじゃない?
「FUJIFILM 400」の中身は「Kodak UltraMax 400」でしょ?

さらには、「Kodak EKTACOLOR PRO」は「Kodak PORTRA」と同じですね。という声まであります。

もちろん、メーカーが公式に認めているわけではありません。

ですが、海外のフィルムユーザーによる考察やSNSでの情報、製造元や販売元の関係、パッケージ表記などを追っていくと、「名前は違うのに中身は同じかもしれないフィルム」が増えているのも事実です。

そこで今回は、2026年現在のフィルム市場を整理しながら、それぞれのフィルムの背景や噂の真相、そして実際に使って感じたことを作例と共に検証してみたいと思います。

 

補足
本記事で紹介する内容の多くはメーカーの公式発表ではなく、あくまでもユーザーの間で語られている考察や推測を含みます。その点をご理解いただいたうえで、「今のフィルム市場ってこんな状況なんだ」と気軽に楽しんでいただければ幸いです。

 

 

 

なぜ今のフィルム市場はこんなに複雑なのか

フィルムを作る会社と売る会社が違う

昔のフィルム市場は、とても分かりやすいものでした。KodakのフィルムはKodakが作り、FUJIFILMのフィルムはFUJIFILMが作る。

当たり前のように思えますが、現在のフィルム市場では必ずしもそうではないんですよね。

近年は、映画用フィルムを写真用として販売したり、期限切れフィルムを詰め替えて販売したりと、さまざまなフィルムが登場しています。
中には製造元がはっきり分からないフィルムもあり、新しく登場したフィルムを見ても「中身は本当は何なんだろう?」と疑いたくなることもあります。

困ったことに、その流れは小規模なメーカーだけの話ではないんですよね。

たとえば「PORTRA」を販売しているのはKodak Alarisですが、実際に製造しているのはEastman Kodakです。
このように、フィルムを製造する会社と販売する会社が別になっているケースも増えてきました。

そのため、パッケージに書かれているブランド名だけでは、どの会社が作ったフィルムなのか分からないこともあります。

昔はブランド名を見れば大体のことが分かりましたが、今はそう簡単ではありません。

フィルムの名前だけでは判断できない時代になってきたんですね。

 

生産終了とOEM供給が市場を変えた

現在のフィルム市場が複雑になった最大の理由の一つが、生産終了とOEMの供給です。
かつては、Kodak、FUJIFILM、AGFA、Konicaなど、多くのメーカーが自社でフィルムを製造していました。

それがデジタル化によって市場は大きく縮小されました。
生産設備を維持できなくなったメーカーも増え、自社製造から撤退するブランドが増えてしまいました。

そこで増えたのがOEM供給です。

自社では製造せず、他社が作ったフィルムを自社ブランドとして販売する。

近年登場したフィルムの中には、この仕組みで販売されているものも多くあります。

 

ブランド名だけでは判断できなくなった

以前はフィルムを選ぶとき、「どのメーカーが好きか」が大きな判断基準でした。

ところが現在は事情が少し違います。

パッケージのブランド名が違っていても、製造元をたどると同じ会社に行き着くことがあります。

もちろん、同じ工場で作られているからといって完全に同じフィルムとは限りません。

逆にポジティブに言うと「このフィルムの中身は何だろう?」という楽しみ方が生まれたのも、今のフィルム市場ならではなんですよね(マニアック過ぎるか 笑)。

ここからは、実際に話題になっているフィルムをひとつずつ見ていきましょう。

 

 

EKTACOLOR PROはPORTRAなのか?

まずは、2026年5月に販売されたフィルム。エクタカラーとポートラについてです。

ほぼほぼ、同じで間違いないというのが僕の個人的な感覚です。その理由について、作例と共に解説していきます!

 

なぜPORTRAと同じだと言われているのか

2026年に登場した「EKTACOLOR PRO(エクタカラー)」。

発売直後からフィルムユーザーの間では、「これってPORTRAじゃないの?」という声が多く見られました。

その理由のひとつが感度のラインナップです。
EKTACOLOR PROには160・400・800が存在します。
フィルムカメラを長く使っている方なら気付くと思いますが、この感度設定はPORTRAシリーズと全く同じです。

さらに製造元はEastman Kodak。
PORTRAを製造しているのも同じEastman Kodakです。

もちろん、それだけで同じフィルムとは断定できないのですが、ここからも「作る会社」と「売る会社」が異なる現在のフィルム市場の複雑さが見えてきます。

 

作る会社と売る会社の関係を考えると見えてくるもの

少し話はややこしくなりますが、
PORTRAを販売しているのは「Kodak Alaris(コダック・アラリス)」です。
EKTACOLOR PROを販売しているのは「Eastman Kodak(イーストマン・コダック)」です。

そして製造しているのは「Eastman Kodak(イーストマン・コダック)」になります。

つまり、同じ製造元でKodakブランドに見えても、販売する会社は異なります。

PORTRAという名前を持っているのはKodak Alarisです
そのため、Eastman Kodakが同じ乳剤のフィルムを販売するとしても、「PORTRA」という名前を使うことはできません。

そこで復活したのが「EKTACOLOR」というブランドです。

昔からフィルムを使っている方ならご存じかもしれませんが、EKTACOLORはPORTRAが登場する以前に存在していたプロ向けカラーネガフィルムの名前です。

ここでさらにややこしいのが、昔のブランド名を復活させたけど、中身は違うということです。
以下の作例を見ていただいても分かるかと思いますが、おそらく中身はPORTRAと同じなんですよね。

もー、大人の事情だかなんだか知りませんが複雑ですわー。ってのが率直な感想。

 

EKTACOLORの作例

 

 

PORTRAの作例

 

 

実際に使って感じたこと

エクタカラーを実際に撮影してみたのですが、印象的だったのは、非常に滑らかな階調です。
明るい部分から暗い部分へのつながり方が自然で、無理にコントラストを強調したような描写には感じませんでした。

発色も派手さはなく、被写体そのものを丁寧に描写する印象です。

特に人物や猫の毛並みなど、質感を大切にしたい被写体との相性は良いと感じました。

この感想がまさにPORTRAと同じです。

メーカーが公式に公表しているわけでもないですが、実際に使った印象としては「これ、同じでしょー」という感想です。
良い部分はエクタカラーの方が少し安くて、1本から購入できる点ですね。

 

 

KODACOLOR 200はKodaka ColorPlus 200なのか?

EKTACOLORと同じく復活した「KODACOLOR」

EKTACOLOR PROと同じく、フィルムユーザーの間で話題になったのが「KODACOLOR 200」です。

このフィルムを初めて見た時、懐かしさを感じた方もいるのではないでしょうか。
KODACOLORは1942年に登場したKodakの歴史あるカラーネガフィルムブランドです。

その後、長い年月を経て市場から姿を消しましたが、再び復活しました。

EKTACOLORと同じく、「なぜ今になって昔のブランド名が復活したのか?」という疑問を持った人も多かったと思います。

そして同時に、「中身は何なんだろう?」という新たな疑問も生まれました。

新しいフィルムは謎解きが必要ですね。

 

ColorPlus 200ではないかと言われる理由

KODACOLOR 200については、フィルムユーザーの間で「ColorPlus 200ではないか」という声があります。

理由として、まず製造元はEastman Kodakということ。感度はISO200ということ。
価格帯や立ち位置もColorPlus 200に近い印象があります。

もちろん、メーカーが公式に「ColorPlusと同じです」と発表しているわけではないので、これまた真相は分かりません。

作例を見る限り、確かに似ています。「EKTACOLOR」や「Kodak Gold200」とも違います。

個人的に「ColorPlus 200」は好みではなく、あまり使ってこなかったので、もっとたくさん使っていれば「あ、同じだ」と瞬間的に思ったかもしれませんね。

 

KODACOLOR 200(コダカラー)の作例

 

 

ColorPlus 200の作例

 

 

実際に使って感じたこと

実際に使った第一印象は、価格も含めてどちらも扱いやすいフィルムです。

特別な場面をドラマチックに切り取るというより、日常のスナップを自然に楽しむのに向いていそうです。

何気ない景色や身近な被写体を撮っても、少しやわらかく、少し懐かしさを感じる写りになります。

鮮やかさは控えめ。クリア感はなく、スッキリしたフィルムではありません。
適度なザラ付きがあり、やわらかい描写です。

という、どちらのフィルムもほぼ同じ感想。

結果、僕的にはどちらもあまり好みではなかったですね。
そういう部分も含めて、同じフィルムかもなーという印象ですね。

 

 

 

 

 

FUJIFILM 200はKodak GOLD 200なのか?

続いては、まさにフィルムといえば真っ先に浮かぶ会社。
日本とアメリカでしのぎを削った関係。

それの中身が同じ!?そんなアホなーーって感じですよね。

この説が広まったきっかけ

現在のフィルム市場を語る上で、おそらく最も有名なのが「FUJIFILM 200=Kodak GOLD 200説」です。

この話が大きく広まったのは2021年頃。
新しい「FUJIFILM 200」が登場した際、多くのフィルムユーザーがある違和感に気付きました。

それがデータシートです。

公開された特性曲線や感度特性などがKodak GOLD 200と非完全に一致いたことから、「中身はGOLDなのでは?」という考察が一気に広まったんですね。

さらに、新しいFUJIFILM 200はアメリカ製。アメリカでカラーネガフィルムを生産しているのはコダックのみ
かつての「FUJICOLOR C200」とは異なることもあり、この説に拍車をかけることになりました。

 

FUJICOLOR 200の作例

 

 

KodakGold 200の作例

 

 

実際に使って感じたこと

「FIJIFILM 200」は確かにKodakらしい雰囲気を感じます。FUJIFILM特有の「緑や青のヌケの良さ」がないんですよね。

特に印象的なのは暖色系の発色ですね。
夕暮れの光や木々の色、人物の肌色などに温かみがあり、どこか懐かしい空気感があります。

また、コントラストも程よくあり、鮮やかさもあります。

かつての「FUJICOLOR C200」を求めて使ってみたので、仕上がりに違和感がありました。

フィルムって製造ロットによって違いが出ることはありますが、「FIJIFILM 200」を何度か使った結果、これは「GOLD200」だなと思いました。
確実にいえるのは「FUJICOLOR C200」とは別物ですね。

 

富士フイルムを買ったのにKodakかもしれない時代

少し前までなら、「FUJIFILMを買えば富士フイルムのフィルム」という考え方が当たり前でした。

でもね、現在はそうとも言い切れません。

パッケージにはFUJIFILMと書かれている。でも中身はKodakかもしれない。

さきほど、「FUJIFILM 200」はアメリカ製。
アメリカでフィルムを作ってるのはコダックだけだから、中身はFUJIFILMじゃないと書きました。

そこで注目したいのは「FUJIFILM 100」は日本製で、「FUJIFILM 400」アメリカ製という部分。

はい。以下、続きますね。

 

 

FUJIFILM 400はKodak UltraMax 400なのか?

FUJIFILM 200に続いて浮上したUltraMax説

FUJIFILM 200がKodak GOLD 200ではないかと話題になった後、自然と注目が集まったのが「FUJIFILM 400」です。

もし200がKodak製なら、400は何なのか。

そんな中で有力視されるようになったのが、「Kodak UltraMax 400ではないか」という説です。

この説が広まった理由のひとつがさきほどと同じ、データシートです。
公開された「FUJIFILM 400」のデータシートの内容が「UltraMax 400」と一致すると海外のフィルムユーザーの間で話題になりました。

製造国もアメリカですからね。ほぼ間違いないのかな、と。

 

FUJIFILM 400の作例

 

 

Kodak UltraMax 400の作例

 

 

実際に使って感じたこと

実際に撮って見た感想では、どちらも共通しているのが発色の良さですね。そしてザラ付きは感じました。
FUJI特有の青緑系のではなく、暖色系の表現も一致しましたね。

暗い部分が潰れるので、やや被写体を選ぶフィルムです。

価格的にもほぼ同じ。中身もきっと同じですね。

ということで、FUJIらしい色味が好みな方は、「FUJIFILM 100」を選びましょう。
200も400もきっとコダックで、暖色系になりますので。

 

YES!STAR 400はFUJIFILM SUPERIA Venus 400なのか?

これに関しては、信憑性は全くありません。
近年の詰め替えられまくりのフィルム事情を疑った結果です 笑。

調べていくと、「SUPERIA Venus 400」ではなく、「FUJIFILM 400」と同じ説も出てきました。

突如現れた謎のフィルム

あらためまして。今回紹介する中でも、特に正体が分からないフィルムが「YES!STAR 400」です。

KodakやFUJIFILMのような大手メーカーではなく、比較的新しい中国のブランドとして登場しました。

初めて見た時は、「一体どこで作られているんだろう?」と思った方も多いはずです。

フィルム市場では近年、新しいブランドのフィルムが次々と登場しています。
嬉しいことではあるけど、自社では製造していないことも多く、その中身については公表されていないケースがほとんど。

「YES!STAR 400」もそのひとつですね。

だからこそ、多くのフィルムユーザーが作例を見比べながら考察を続けています。

 

Venus 400ではないかと言われる理由

YES!STAR 400について語る時によく出てくるのが、「SUPERIA Venus 400ではないか?」という説です。

フィルムの端には種類を識別するための「エッジコード」が印字されています。
「YES!STAR 400」はスキャン時に「Fujicolor Superia 400」と認識されることがある、という情報があるんですよね。

僕はそこまで知りませんでしたが、実際に撮影した写真の雰囲気がよく似ていたので、もしかしてと疑ったんですけどね。
もちろん、これだけで同じフィルムとは言えません。

ただ、「YES!STAR 400」を使ってみて優秀なフィルムだなって思ったので、FUJIFILMじゃないのかなーって思った次第です。

 

YES!STAR 400の作例

 

FUJIFILM SUPERIA Venus 400の作例

 

実際に使って感じたこと

クリアでシャープなところは似ているなと思っていましたが、こうやって並べてみると「SUPERIA Venus 400」の方がよりスッキリしていて、ザラ付きも少ない気はしますね。
となると、もう一つの噂の「FIJIFILM 400」なのか?

でも、「FIJIFILM 400」ほど暗部が潰れることもなかったし、それも違う気が。

さきほど、エッジコードが「SUPERIA Venus 400」と認識されると書きましたが、スキャナーが「Fujicolor Superia 400」と認識したことで、よく似た仕上がりになる。

もしかすると、そんな可能性もゼロではありませんね。

このフィルムについては、謎ですね。違う可能性もありますね。

 

 

名前よりも「誰が作っているか」の時代になった

今回紹介した内容を改めて整理してみました。
メーカーの公式発表ではなく、データシート・製造元情報・実際の作例などから考察した内容です。
実際の中身をメーカーが公表しているわけではありません。
あくまで僕の個人的な予想になります。

フィルム名中身と噂されるフィルム信憑性根拠
EKTACOLOR PROKodak PORTRA高い製造元がEastman Kodak。感度ラインナップ(160・400・800)もPORTRAと一致。
KODACOLOR 200Kodak ColorPlus 200やや高い製造元や価格帯、描写傾向も似ている。
FUJIFILM 200Kodak GOLD 200非常に高いデータシートの一致、Made in USA表記、海外での考察が多数。
FUJIFILM 400Kodak UltraMax 400非常に高いデータシートの一致、Made in USA表記、描写傾向も近い。
YES!STAR 400SUPERIA Venus 400推測段階作例比較からの考察が中心。公式情報やデータシートは確認できない。

 

今回の記事を書いていて改めて感じたことがあります。
それは、フィルムを選ぶ基準が昔とは大きく変わったということです。

10年前は、「Kodakが好き」「FUJIFILMが好き」

そんな選び方が当たり前でした。

でも現在は、ブランド名だけでは中身が分からないケースも増えています。
パッケージにはFUJIFILMと書かれていても、製造元をたどるとKodakかもしれません。

逆に、新しいブランドのフィルムだと思っていたら、実は昔から存在するフィルムだったということもあります。

願わくば、FUJIFILMのPRO400Hを違う名前でもいいからまた使えたら嬉しいです。

 

 

フィルム別の発色について

これまでに使用したフィルムでランキング記事をまとめました。ぜひ下記もご参考ください。
また、新しいフィルムのレビューも追加していきます。

▶︎ おすすめ35mmフィルムランキング【2026年最新】|ネガ・リバーサル・モノクロ徹底比較

 

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